「マーケティングが大事だ!」と分かっても、そもそもマーケティングとは何かが分かっていないと、どれだけ頑張っても成果は出ない。だからここで、マーケティングをしっかりと定義しておこう。
まず、よくある間違いから。
マーケティングの父と呼ばれているフィリップ・コトラーは、次のように指摘している。
「『マーケティングとセールスは同じだ』という思い込み。これは最もよくある間違った考えである」
多くの人がマーケティングだと思っていることは、実はセールステクニックだ。例えばアップセル、クロスセル、SEO、PPC、プロダクトローンチ、ジョイントベンチャー・・・。これらはすべてセールスの手法であって、マーケティングではない。
そして、ピーター・ドラッカーはこう言っている。
「優れたマーケティングは、セールスを不要にする」
「マーケティングの目的は、顧客を知り、理解し、商品・サービスが顧客にフィットして、勝手に売れるようにすることである」
つまり、セールスするために顧客を目の前に連れてくること(いわゆる集客)でもないということだ。
なぜなら、マーケティングがしっかりできていればセールスする必要なんてないからだ。
ではいったい、マーケティングとは何なのか?
いろんな人がいろんな言い方でマーケティングを説明しているが、僕が一番しっくりきたのはリッチ・シェフレン(全世界で100万人以上に読まれた『インターネットビジネスマニフェスト』を書いた、インターネットビジネスのエキスパート)の定義、
「マーケティングとは、オファーするものの価値を高く評価するよう見込客を手助けし、セールスしなくてもそれを買いたくなるようにさせることで需要を生み出すこと」
これは、一度読んだだけでは「???」かもしれない・・・。でも、マーケティングを学べば学ぶほど、これほどまで的確にまとめてくれている定義はないと思えてくる。
そして具体的には一体何をするのかというと、これはダイレクト出版の小川忠洋氏がとても分かりやすく教えてくれている。
「マーケティングとは教育。特に、顧客の問題を教育することだ」
あなたの商品がどのような問題を解決するか、そして、見込客がその問題をどれほど抱えていて、それがどれほど悪い影響を引き起こしているのかを教育するのだ。
僕らの身近に、すごく上手にマーケティングができているものがある。
それは、「医者」と「薬」だ。
医者は、あなたの体を診察する。そして的確に症状や原因を教えてくれる。そして「治すためには薬が必要、あるいは手術という手もある。どうしますか?」と聞いてくる。・・・以上!
売り込みなんてしてこない。「今日決めてくれたら、注射1本20%オフ!」などとクロージングをかけてくる医者などいない。患者さんの方も、「あと2~3人の医者に見積もりとってから・・・」なんてまず言わないだろう。おそらく、「はい、お願いします」で取引成立。言われた金額を文句ひとつ言わず払う。
まさにセールス不要。これが優れたマーケティングだ。
そしてもう一つ。
ジェイ・エイブラハム(世界NO.1のマーケティングコンサルタント)が言うには、
「マーケティングとは、リーダーシップだ」
顧客をより良い状態に導いてあげるということ。これはビジネスそのものの意義と言ってもいいかもしれない。概念的でぼやっとはしているが、本質だと思う。この考え方が僕は大好きだ。
高畑昌史
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